第16回 既存データから新たな情報を得る! メジャーとDAX
DAX(Data Analysis eXpressions)は、Power Pivotのデータモデルに関連付けられた数式言語で、既存データから新しい情報を作成するのに役立つデータ分析式です。
DAX関数の種類
Excelの数式でSUMという関数を日常的に使いますが、同様にDAXでも様々な計算ができる便利なDAX関数が使えます。
DAX関数は図表1のように多岐にわたるので、必要に応じて理解を進めていくことをお勧めします。
例えば、DAX数式を効果的に記述するのに役立つ関数として、MIN(最小値)やMAX(最大値)などを計算する「集計関数」、PREVIOUSMONTH(前月値)やOPENINGBALANCEYEAR(開始年値)などを計算する「タイムインテリジェンス関数」、CALCULATE(指定されたフィルターの計算結果値)やHASONEVALUE(一意の値)などを計算する「フィルター関数」などがあります。
この他、エクセルの日付と時刻の関数に似た「日付と時刻関数」、引数として提供されるセルまたは行を調べて値が予想されるタイプと一致するか通知する「情報関数」、論理式の値に関する情報を返す「論理関数」、Excelの数学関数と三角関数によく似た「数学関数と三角関数」、データモデルで親/子階層として表示されるデータの管理に役立つ「親関数と子関数」、テーブル間のリレーションシップを管理および操作する「リレーションシップ関数」、正味現在価値などの財務計算で用いる「財務関数」、Excelの統計関数によく似た「統計関数」、テーブルを返す「テーブル操作関数」、文字列内のテキストを検索するなどで役立つ「文字列関数(テキスト関数)」などがあります。
DAX数式で使う関数は200を超え、その数は増え続けています。すべて覚える必要はありません。
経営管理業務に携わることを前提とすれば、「集計関数」「タイムインテリジェンス関数」「フィルター関数」の代表的なDAX関数は押さえておきたいところです。
計算列
経営管理に必要な分析を実行するには、計算が必要です。計算自体は、これまで同様Excelでも可能です。
しかしExcelの場合、そもそも「104万行の壁」もありますし、計算処理が遅いという欠点もあります。
そこで、DAXです。
Power Pivot for ExcelでDAXによる計算方法は二つあります。
①計算列
②メジャー
計算結果はどちらでも同じになります。
①計算列は、DAX数式で計算する列をテーブルに追加する方法です。図表2をご覧いただくと、「個数」という列の右隣りに「計算列の単価」という列があり、その計算式が計算バーに表示されているのが分かります。
メジャー
②メジャーは、計算列のようにテーブルに列として表示させずに、計算の都度、定義されたDAX数式に基づき計算結果を必要に応じて表す方法です。
図表3の横線で区切られた下部(グレーの部分)を「計算領域」と呼びますが、ここに「メジャーの単価:20000」とあります。これがメジャーであり、その計算結果を表示しています。
メジャーの場合、計算バーにメジャー名「メジャーの単価:」と入力後に続く計算式は、①計算列(図表2)と同じであることを確認してください。
計算列とメジャーの違い
このように、①計算列はテーブルに「計算列」として常に計算・表示されるのに対し、②メジャーはピボットテーブルで計算・表示する際、必要に応じて計算結果を表示するという違いがあります。
したがって、①計算列に比べて②メジャーの方がデータを軽くできるという特徴があります。
この辺りは、ビッグデータになるほどデータ分析のパフォーマンスに影響を及ぼす要因になります。
【今回のポイント】
・パワーピボットを使いこなすには、DAXというデータ
分析式を理解する必要があるよ。
・ExcelによるDAXの計算方法には、
①計算する列をテーブルに追加する「計算列」
②計算の都度、計算結果を表す「メジャー」
2つの方法があるよ。
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